2008/03/07 07:24:28
4年ほど前に1つの種が蒔かれました。
水や日光をきちんと与えられ、
1年ほどかけてその種は花を咲かせました。
その花は咲き終えると、1度枯れて次の年の開花に備えます。
ところが、その花は枯れる前に1つの病気を持ってしまいました。
病名は、不安。
そんな不安を抱えたまま再び種となったので、
不安を抱えた芽が出てきました。
さらに悪い事に、この年は昨年ほど水や日光が行き届きませんでした。
そして北風が吹きやむことはありませんでした。
不安を抱えた芽はこの年、それ以上は育つ事が出来ませんでした。
次の年、花になれなかった芽は本当は種に戻りたくなかったのですが、
そうするとその土地に種がいなくなってしまうので、
種に戻ることにしました。戻るしかなかったともいえます。
そのような状況だったので、その種はやっぱり不安を抱えていました。
でも、この年は前年とは違いました。
去年は何もなかった隣に種が2つ植えられ、
不安を抱えた種を置いていく勢いで成長していきます。
さらに隣に植えられた2つの種には不思議な力がありました。
2つの種は不安を抱えた種が
前の年にあまり得ることが出来なかった
水や日光を自ら呼び寄せることが出来ました。
さらに2つの種はその養分を隣にいた
不安を抱えた種にも分け与えてくれました。
不安を抱えた種はそのおかげでぐんぐん成長をし、
その年の終わりには、
不安のないスミレ色の花を咲かせる事が出来ました。
隣にいた2つの種も無事成長をし花を咲かせ再び種になる中で、
スミレ色の花を咲かせた種は、次の年に種となることを止めました。
代わりに隣の種たちに与えて貰った、
水や太陽の光になろうと思いました。
そう心に決めました。
その年は隣にいた2つの種の他に、
さらに3つの種がやってきました。
種になることをやめたはいいものの、
前の年以上に養分が必要となり、大変ではありましたが、
水もあげるのをそれなりに守れたし、
何より太陽の光をいっぱい注げたのではないかと思います。
いま、その5つの種たちは芽をだし成長して、もうすぐ花開く蕾の状態です。
きっと花の色はさくら色ですね(*^_^*)
水や太陽の光をあげるという役目を終えたその人は、
もうすぐ土に還ります。
土は、その上に咲く花たちを直接みる事は出来ません。
でもその花たちの根っこを知っています。
根っこが疲れていたら、いつでもそこに栄養を与えにいくことができます。
土に還ることが寂しくないといったら、
きっと嘘になるでしょう。
それでも、
育ててくれたその場所に、
不安を取り除いてくれた2つの種たちに、
養分を与えることによってすくすくと成長してくれた3つの種たちに、
ずっとずっと感謝し続けたいから土に還ります。
こんなに居心地の良かった場所はそうそうありません。
ありがとう。
大好きです。
おしまい。
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